世界最大のクラウドプロバイダーである Amazon Web Services(AWS) は、データストレージ・分析・機械学習など幅広いサービスを提供し、グローバルに約30%以上の市場シェアを維持しているクラウドサービスです。
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そもそもクラウドとは?
オンプレミスとの比較で見えるAWSの強み
かつてオンプレミス環境でサーバーを導入する際には、以下のようなプロセスが必要でした。
開始
↓
① ハードウェア選定 → 発注
↓
② 納品・設置スペースの確保
↓
③ 電源・空調・配線の整備
↓
④ OS/ミドルウェアのインストール
↓
⑤ ネットワーク接続の設定
↓
⑥ セキュリティ設定(ファイアウォール、アクセス制御など)
↓
完了(稼働開始)
この一連の流れは、多くの場合 数週間〜数か月を要することが一般的です。
一方、クラウド(AWS)では:
- ブラウザまたはAPIから操作するだけで、数分以内にサーバーを立ち上げることが可能
- ハードウェア調達・設置などが不要で、導入スピードが圧倒的に速い
さらに、IDCの調査によれば、AWS利用時はオンプレミスに比べて運用コストが約51%削減されることが報告されています。このように、初期投資や導入までのタイムライン、運用コストの点で、クラウドは明確な優位性を持つと言えます。
AWSとは
Amazon Web Services(以下AWS)は、2006年にAmazon S3(オブジェクトストレージ)とAmazon EC2(仮想サーバ)の提供を皮切りにスタートしたクラウドサービスです。これが後のクラウド基盤の礎となり、現在では200以上、場合によっては240以上のフル機能型サービスを提供するに至っています。
主な提供サービスには次のようなものが含まれます:
- 計算リソース:仮想サーバ「EC2」、サーバーレス実行環境「Lambda」など
- ストレージ:オブジェクトストレージ「S3」をはじめ、用途に応じた柔軟性と高耐久性を備えた設計
- データベース:従来型リレーショナル「RDS」、高性能互換「Aurora」、スケーラブルなNoSQL「DynamoDB」など。
これらのサービスは単なる個別機能の提供にとどまらず、API や管理コンソール、SDK を通じた統一的な操作を可能にしており、従来の物理的なインフラ構築とは一線を画す利便性と拡張性を実現していま
データプラットフォームとしての特徴
AWSがデータ活用の基盤として特に優れている理由は、下記のような特性にあります。
1. 圧倒的なサービスの豊富さと深さ
インフラ技術だけでなく、機械学習、分析プラットフォーム、データレイク構築などにも幅広く対応—それぞれが他のクラウドを凌駕する機能性を持ちます。
2. グローバルなインフラ展開と信頼性
AWSは複数のリージョンとアベイラビリティゾーン(AZ)にまたがる広範な運用ネットワークを持ち、高可用性とデータ保護を実現していますウィキペディア。
3. モダンなデータアーキテクチャ基盤
AWSは、データの収集・蓄積・加工・分析・可視化に至る全工程をカバーできるプラットフォームを提供します。例えばデータレイク(S3・Lake Formation)、ETL(Glue)、クエリ実行(Athena)、可視化(QuickSight)などを組み合わせることで、現代的なデータ戦略を支援しますAWS ドキュメント。
4. 軽量な運用とコスト最適化
「オンデマンド方式」かつ「従量課金制」により、初期投資を抑えつつ必要に応じてリソースを柔軟に調整できます。サーバレスやオートスケーリングにより運用負荷も軽減されます
導入メリットと課題
- メリット:スタートアップから大企業まで対応可能な柔軟性と充実したエコシステム
- 課題:複雑な料金体系や、他クラウドへの依存度が高まるリスク(いわゆる“クラウドロックイン”)も存在 。
AWSの主要サービス一覧(基礎インフラ)
AWSは、幅広いアプリケーションに対応できる多様なサービスを提供しており、以下はその中でも基本となるカテゴリと代表的サービスです。
- 計算リソース(コンピューティング)
- Amazon EC2(仮想サーバー)
- AWS Lambda(サーバレスの関数実行環境)
- Amazon ECS / EKS(コンテナ管理)、AWS Fargate(サーバレス・コンテナ)
- ストレージ
- Amazon S3(オブジェクトストレージ)
- Amazon EBS(ブロックストレージ)
- データベース
- Amazon RDS(リレーショナルDB)
- Amazon Aurora(高性能互換DB)
- Amazon DynamoDB(NoSQL)
- ネットワーク/配信
- Amazon VPC(仮想ネットワーク)
- Amazon Route 53(DNS)
- インフラ運用管理
- AWS CloudFormation(IaC/テンプレートでの構成管理)
- その他、モニタリングや自動スケールなど多数の管理ツールが揃っています。
データ分析・分析基盤における主要サービス
分析・データ基盤構築に便利なAWSの代表的サービスを、用途別に整理しました:
- BI/可視化
- Amazon QuickSight(ダッシュボード作成・レポート)
- インタラクティブ分析(サーバレスSQLクエリ)
- Amazon Athena(S3上のデータに対してSQLクエリ)
- データウェアハウス
- Amazon Redshift(分析特化型DWH)
- Redshift Serverless(サーバレス型DWH)
- ETL/ビッグデータ処理
- AWS Glue(ETLサービス、データカタログも含む)
- Amazon EMR(Hadoop/Sparkによる大規模処理)
- ストリーミング処理
- Amazon Kinesis(リアルタイムストリーミング)
- データレイク構築/ガバナンス
- AWS Lake Formation(中央管理されたデータレイク構築・アクセス許可管理)
- Amazon DataZone(データ管理サービスとメタデータ統合)
これらサービスは相互に連携し、データ収集から加工・分析・可視化までを一気通貫で支援します。たとえば、S3上のテーブルをGlue経由でカタログ化し、AthenaやRedshift、EMR、QuickSightと連携して分析できる構成などが可能です