Databricksを支える3つの技術:Delta Lake・Apache Spark・MLflowをやさしく解説!

データ活用の現場では、「大量のデータをどう保存し、どう処理し、どう分析や機械学習につなげるか」が大きなテーマです。
Databricksはその課題を一つのプラットフォームで解決する「レイクハウス」と呼ばれるアーキテクチャを提供しています。
このレイクハウスを支えるのが、以下の3つのオープンソース技術です。

  • Delta Lake:データを安全に扱えるようにするテーブル形式のストレージ技術
  • Apache Spark:大規模データを高速に処理する分散計算エンジン
  • MLflow:機械学習の実験やモデルを管理するための仕組み

さらに、データやAI資産の権限管理を担うUnity CatalogというガバナンスレイヤーもDatabricksには備わっています。
この記事では、この4つをやさしく解説していきたいと思います。

Delta Lake:データレイクに「ACIDトランザクション」をもたらす

データレイクは「大量の生データをそのまま保存できる場所」ですが、単なるファイル置き場だと更新や削除に弱く、信頼性が低いという課題がありました。

そこで登場したのがDelta Lakeです。Parquetという列指向のファイル形式にトランザクションログを組み合わせることで、データベースのように堅牢な管理を可能にしました。

ここで出てくる「ACID」とは、データベースの信頼性を表す4つの性質の略称です。

  • Atomicity(原子性):処理は「すべて実行される」か「まったく実行されない」のどちらか
  • Consistency(一貫性):処理後もデータのルールが守られている
  • Isolation(独立性):同時に実行される処理は互いに干渉しない
  • Durability(永続性):完了した処理の結果は失われない

Delta Lakeはこれをデータレイクに持ち込み、「ファイルベースなのにデータベース並みに安全」な世界を実現することができます。さらに、バッチ処理とストリーミング処理を同じデータで扱えるため、リアルタイム分析にも強いのが特徴です。Databricksでは標準のテーブル形式として採用されています。

Apache Spark:大規模データを高速に扱う分散処理エンジン

次に登場するのがApache Sparkです。2009年にカリフォルニア大学バークレー校で生まれたオープンソースの分散処理エンジンで、ビッグデータの世界では欠かせない存在になっています。

Sparkの強みは次の3点です。

  1. 高速性:データをメモリ上に展開しながら並列処理するため、従来のMapReduceより数倍速い処理が可能
  2. 柔軟性:バッチ処理とリアルタイム処理の両方に対応
  3. 豊富なライブラリ:機械学習用のMLlib、グラフ処理のGraphX、ストリーミング処理のSpark Streamingなど

内部的にはRDD(Resilient Distributed Dataset)という「壊れても復元できる分散データ構造」を使っています。これにより、エンジニアは「分散処理を意識せず、普通のプログラムのようにコードを書く」ことができます。

また、Java・Scala・Python・Rといった主要言語に対応しているため、幅広いエンジニアが利用できます。

MLflow:機械学習の流れを「見える化」して管理する

機械学習の開発では、「どんなパラメータで学習したか」「どのモデルが一番良い結果を出したか」といった情報を追跡するのが大変です。

これを解決するのがMLflowです。オープンソースのプラットフォームで、次の機能を持ちます。

  1. Tracking:学習のパラメータや精度などを記録・比較
  2. Models:作成したモデルを共通形式で保存・読み込み
  3. Model Registry:モデルのバージョン管理やステージング/本番移行を一元管理

最新のMLflow 3では、DatabricksのUnity Catalogと連携し、モデルに対してアクセス権限や監査ログを付与できるようになっています。これにより「誰がどのモデルを使ったか」を追跡でき、企業利用に安心です。

Unity Catalog:データとAI資産を一元管理するガバナンスレイヤー

データやモデルが増えてくると、もう一つ重要になるのが「誰がどのデータにアクセスできるか」という管理です。

DatabricksのUnity Catalogは、組織全体でデータやAI資産を安全に管理するための仕組みです。

  • アクセス制御:ユーザーやグループごとに閲覧・更新権限を設定
  • 監査ログ:誰がいつデータにアクセスしたかを記録
  • データ探索:メタデータやタグを付けて検索を容易にする
  • Lineage管理:データやモデルが「どこから来て、どう変換されて使われたか」を追跡

一度ルールを定義すれば複数のワークスペースに共通で適用できるため、統一的なガバナンスを効率よく実現できます。

まとめ:4つの柱がDatabricksを支えている

Databricksのレイクハウスは、

  • Delta Lakeによる信頼性のあるストレージ
  • Apache Sparkによる高速な分散処理
  • MLflowによるMLライフサイクル管理
  • Unity Catalogによるガバナンスとセキュリティ

という4つの柱で成り立っています。

これらを理解すると、「Databricksがなぜ保存から分析・AIまでを一気通貫で扱えるのか」がよくわかるはずです。

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