Databricksを使う上で欠かせないのが「クラスタ」の理解です。
クラスタとは、データ分析や機械学習を実行するためのコンピューティングリソースの集合。
この記事では、Databricksでのクラスタ構成のベストプラクティスをわかりやすく整理します。
目次
Table of Contents
Databricksのコンピュートの種類
Databricksには大きく分けて2つのコンピュートモデルがあります。
- クラシック・コンピュート
- 柔軟にカスタマイズ可能
- ユースケースに応じて自由にインスタンスや構成を選択
- サーバーレス・コンピュート
- Databricksが自動でリソースを管理
- インフラ運用の手間を最小化
両者の違いをざっくり言うと:
- クラシック:自由度が高い、運用コストも伴う
- サーバーレス:手軽、ただし制約もある
クラシック・コンピュートのクラスタタイプ
クラシックモデルでは、主に以下の2つを使い分けます。
- 万能クラスタ(All-purpose Cluster)
- 開発やアドホック分析向け
- ノートブックを使って自由に実験できる
- コストは高め
- ジョブクラスタ(Job Cluster)
- ETLや定期ジョブ向け
- ジョブ終了後に自動で解放され、コスト効率が良い
- DBU単価も安い
基本的には ジョブはジョブクラスタを使うのがベスト。万能クラスタは開発・実験専用に。
インスタンスタイプの選び方
クラスタの性能は選ぶインスタンスで大きく変わります。ワークロードに応じて最適化するのがポイントです。
- メモリ最適化
- 大量キャッシュ、シャッフル処理、機械学習
- コンピュート最適化
- ストリーミング、フルスキャン、Delta OPTIMIZEやZ-order
- ストレージ最適化
- ディスクキャッシュを多用する分析、機械学習
- GPU最適化
- ディープラーニング、大規模MLモデル学習
- 汎用インスタンス
- 特に最適化要件がないシナリオ、メンテナンス処理
コスト削減の工夫
- スポットインスタンス
未使用VMを低価格で利用可能。ただし途中で停止されるリスクあり。
→ ETLやMLトレーニングなど中断が許容される処理におすすめ。 - インスタンスプール
すぐに利用可能なアイドルVMを確保。クラスタ起動が速くなる。
ただしクラウドプロバイダーからはアイドル分も課金される点に注意。
サーバーレス・コンピュート
サーバーレスは、クラスタ管理を完全にDatabricksに任せられるモデル。
- メリット
- 起動が速い
- オートスケーリング
- Photonエンジン最適化
- 運用の手間が不要
- 制約
- 対応言語は PythonとSQLのみ
- DBU単価はクラシックより少し高い
ただし、基盤VM代も含まれているので「総額」ではコスト効率が良いケースもあります。
SQLウェアハウス
DatabricksのBI/SQL向け専用クラスタ。
- サーバーレスSQLウェアハウス
- ETLやダッシュボード用に最適
- 自動管理&高い同時実行性
- Pro SQLウェアハウス
- サーバーレスが利用できないリージョンや、独自ネットワーク環境で必要
- 外部システム接続やハイブリッドアーキテクチャに対応
まとめ:クラスターベストプラクティス
Databricksでのクラスタ設計は、ユースケースに応じて選択肢を切り替えるのがベストです。
- 開発・実験 → 万能クラスタ
- 定期ジョブ・ETL → ジョブクラスタ
- ライブSQL分析 → サーバーレスSQLウェアハウス
- 高性能MLやDL → GPU最適化クラスタ
- 運用コスト削減 → スポットインスタンスやインスタンスプール
「クラシックは自由度、サーバーレスは手軽さ」
「SQL系はSQLウェアハウスで最適化」
これを押さえておけば、ワークロードに応じた最適なDatabricks環境を構築できます。