dbt(Data Build Tool) は、データウェアハウス内の変換処理(Transform)をコード化し、テスト・ドキュメント・バージョン管理を備える、データチーム共通の変換パイプラインフレームワークです。この記事で概要をレビューします。
Table of Contents
1. dbtとは
dbtとは「ETLの処理の中でT(Transform)にあたる処理を担当するツール」で、データウェアハウス(データベース)に既にデータがある状態に対して処理を実施します。
RubyやPythonのモデル定義をSQL変換に変換し、変換処理をコード品質と共に管理。オープンソースとして開発され、dbt Labsが商用クラウド版も提供しています 。
2. 主要機能と特長
モジュール化とSQLベース構成
dbtでは、SELECT文ベースのデータモデル(models)を定義し、それらをモジュール化して組み合わせ可能です。ref() 関数で依存関係を定義すると、DAG(Directed Acyclic Graph)が自動生成され、実行順序や依存関係を可視化できます。また、Jinjaテンプレートにより共通処理の再利用もスムーズです。
ソフトウェア工学的な開発体験
dbtプロジェクトはGitと相性が良く、ブランチやレビュー、変更履歴の追跡が可能です。その上、テスト機能(unique, not_null, referential integrity など)やドキュメント自動生成機能により、信頼性と透明性が一段と高まります。
モダンなELT対応
dbtは「ELT」の「T(Transform)」に特化しており、データ取得・ロードは他サービスに任せ、変換処理だけを担います。Redshift, BigQuery, Snowflakeといったモダンな分析基盤上で処理を完結させることで、パフォーマンスと柔軟性を最大化します。
dbtにはJinjaというテンプレートエンジンによってSQLを柔軟に記載する仕組みがあります。詳しくは下記に記載しています。
3. 導入による効果
開発・保守の効率化
SQLの保守性が高まり、チーム開発に強くなります。依存関係の管理やバックフィルの自動化、変更時の影響範囲の把握が容易になることで、運用負荷が劇的に減りますRedditthedataschool.co.uk。
品質保証と信頼性の向上
事前テスト、バージョン管理、ドキュメント化などの機能により、データ品質と再現性が強化されます。エラー発生時の情報把握が素早くなり、品質面で安心できる運用が実現しますAnalytics8。
分析チームの自走促進
データアナリストでもSQLスキルがあれば、本格的なデータパイプラインを自ら構築・管理可能です。エンジニア依存を減らし、迅速な分析環境整備を可能にします
4. トレンドと進化
dbtを利用する場合には、SaaS製品であるdbt Cloudを利用する方法と、OSSのdbt-coreのみを利用する方法の2つがあり、dbt Cloudを使用して色々試してみたい場合にはSaaS側がおすすめ。
dbt Cloudの登場:Web UI、スケジューラ、CI連携、コラボレーション機能が追加され、運用のしやすさが強化されています。
ドキュメントとラインエージ:自動生成ドキュメントだけでなく、データがどのように流れているかを視覚的に追えるようになり、分析の透明性が向上。
コミュニティとエコシステムの拡大:外部パッケージ(dbt_expectationsなど)の活用により、拡張性も広がっています
まとめ:導入のポイント
dbtは、信頼性・再現性・生産性を兼ね備えた「変換専用の開発フレームワーク」です。
ポイントとしては:
- モジュール化・テスト・ドキュメントがセットになった分析基盤
- SQLベースでエンジニア以外にも扱いやすい
- モダンデータウェアハウスとの親和性が高い
- チームの分析品質と効率を底上げできる
こちらの記事ではdbtのモデルやマクロといった主要コンポーネントはこちらでご説明しています。