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GCP Dataprocとは?
GCP Dataprocは、Google Cloud上でApache SparkやApache Hadoopなどのオープンソースビッグデータ処理フレームワークを、簡単かつ高速に実行できるマネージドサービスです。これにより、クラスタの構築や管理といった煩雑な作業を省略し、ユーザーはデータ処理に専念することができます。
主な用途は、バッチ処理、ETL、ログ分析、機械学習ワークフローの実行など。クラスタの起動が非常に高速で、ジョブ単位でのスケールイン・アウトが可能なのも特徴です。
Dataprocの簡単デモ紹介
今回のデモでは、Dataprocクラスタを作成し、Apache Sparkによる簡単なETLジョブを実行しました。以下はその構成と手順の概要となります。
- クラスタ構成:3ノード(マスター1台、ワーカー2台)、標準マシンタイプ
- 処理内容:テスト的に円周率を求めるJARファイルを実行
- 実行方法:DataprocのGUIの画面からジョブを実行
- 実行後:GUIのジョブログが出力される項目があるので、そこでSparkジョブを確認する。
他クラウドの類似サービスとの比較
AWS EMR(Elastic MapReduce)
AWS EMRは、Hadoop、Spark、Hive、HBaseなどのオープンソースフレームワークを簡単にデプロイできるマネージドサービスです。Dataprocと同様に分散処理の基盤として利用されますが、以下のような違いがあります:
- Dataprocの方がクラスタ起動が速く、短時間ジョブに向いている
- EMRは他のAWSサービス(S3、Athena、Redshiftなど)との連携が強力
- 価格モデルの違い(Dataprocは1秒単位の課金、EMRは時間単位)
Azure HDInsight
Azure HDInsightも、HadoopやSpark、KafkaなどのOSSをベースとしたマネージドクラスタを提供します。
- エンタープライズ向けのセキュリティ・ガバナンス機能が豊富
- Azure Synapse Analyticsとの連携がスムーズ
- Dataprocと比べると、クラスタ構築時間が長く、用途に応じて選択が必要
AWS Glue , Azure ADF との違い
GCP Dataprocは”処理エンジン”ですが、AWS GlueやAzure Data Factory(ADF)は主に”ETLパイプライン管理ツール“です。役割は次のように異なります:
- Glue:サーバレスでETLジョブを実行できるSparkベースのサービス。コードレスでETLが組め、カタログ機能も強力。Dataprocより抽象化されている。
- ADF:複数のデータソースをまたいだデータパイプラインをGUIで設計・実行可能。Spark処理をHDInsightやDatabricksに委託する形。
つまり、GlueやADFは処理の”流れ”を定義・管理するのが得意で、Dataprocはその”処理そのもの”を実行するためのプラットフォームです。これらは用途によって補完関係にあります。
分析基盤選定のポイント
どのクラウドサービスを選ぶかは、以下の観点が重要になります:
- 既存システムとの連携:GCPならBigQuery、AWSならRedshiftなど、DWHとの親和性
- 起動時間・柔軟性:短期バッチに強いDataproc、柔軟性に富むEMR
- コストモデル:ジョブ単位で細かく制御したい場合はDataprocが有利
- 将来の拡張性:MLやリアルタイム処理との連携を視野に入れる
Dataproc Serverless for Spark
2025/8追記
Dataprocにもサーバレスのサービスがあり、クラスターを管理する必要なく、ジョブごとにリソースをオンデマンドでプロビジョニングするサーバーレスオプションです。 これにより、ジョブが実行されている時間に対してのみ課金され、アイドル状態のリソースに対するコストが発生しません。 この方法は、ジョブが断続的に実行される場合(この場合は毎日深夜にのみ)に特に効果的です。 Dataproc Serverlessは、PySpark、Spark SQL、およびHiveをサポートしており、既存のSparkジョブをほとんど変更せずに実行できます。 また、CSVファイルの処理も問題なく行えます。 これにより、現在の24時間稼働のクラスターと比較して大幅なコスト削減が実現できるため、このシナリオでは最適なソリューションです。
まとめ
GCP Dataprocは、シンプルな構成ですぐに使えるビッグデータ処理基盤として非常に優秀です。クラスタの高速起動や細かな課金体系は、小規模〜中規模のジョブにとって大きな利点です。