【解説】GitHub Actionsランナーとは?エンタープライズにおけるセルフホスティング構成の基本について整理します!

  • 2025年10月9日
  • 2025年10月12日
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GitHub Actions(GHA)は、CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)を自動化するための強力な仕組みです。その中核を担うのが「ランナー(Runner)」です。
ランナーは、実際にワークフロー内のジョブを実行する実行環境のことを指し、GHAでは大きく2種類に分かれます。

■ GitHubホストランナーとは

最も手軽に使えるのが「GitHubホストランナー」です。
これはGitHub社が管理する仮想マシン環境(Windows/Linux/macOS)上でジョブを実行するもので、ユーザーは環境構築を意識する必要がありません。

ワークフローでは次のように指定します:

runs-on: ubuntu-latest

この指定だけで、GitHubが自動的に最新のUbuntuランナーを割り当て、依存関係のインストールやビルドを実行してくれます。
中小規模のプロジェクトや、クラウド上での一時的なジョブ実行に最適な方式です。

■ セルフホスティッドランナーとは

一方、企業のセキュリティ要件や大規模プロジェクトでは、社内ネットワークやクラウド内に独自のランナーを構築するセルフホスティッドランナーが用いられます。
これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 社内リソース(社内サーバやデータベース)へ直接アクセス可能
  • カスタムツールやライブラリを事前インストール可能
  • 高いセキュリティポリシーを維持したままCI/CDを実行できる

設定画面では「新しいランナーを追加」から、OSやアーキテクチャ(例:Windows ×64)を選択し、提示されたコマンドを実行して登録します。

■ セルフホスティッドランナーの基本構成

エンタープライズ環境でセルフホスティッドランナーを構築する場合、アーキテクチャの概念は次のようになります。

つまり、GitHub Actionsがクラウド上でワークフローをトリガーし、
社内ネットワーク上にあるランナーが実際の処理を担当します。

このとき、GitHubとランナー間ではHTTPS(443ポート)通信のみで接続されるため、ファイアウォール環境下でも構築しやすいのが特徴です。
ランナー自身が アウトバウンド通信(外向き通信)を行うだけで動作します。

■ Windowsランナーのセットアップ例

エンタープライズ環境でよく採用されるのがWindowsサーバ上でのセットアップです。
実際の設定手順はGitHub管理画面上に表示されたコマンドを順に実行する形です。

# ランナー用ディレクトリを作成
mkdir actions-runner && cd actions-runner

# ランナーパッケージをダウンロード
Invoke-WebRequest -Uri https://github.com/actions/runner/releases/download/v2.328.0/actions-runner-win-x64-2.328.0.zip -OutFile actions-runner.zip

# 展開
Expand-Archive -Path .\actions-runner.zip -DestinationPath .\

# GitHubリポジトリと紐づけ
./config.cmd --url https://github.com/OrgName/RepoName --token <登録トークン>

# 起動
./run.cmd

これで、社内のWindowsサーバ上に「GitHub Actions Runner」サービスが常駐し、ジョブがキューイングされるたびに自動で処理を受け取ります。

■ エンタープライズ導入時の注意点

  1. セキュリティ境界の明確化
    社内ネットワーク内で実行されるため、アクセス制御(ACL)やプロキシ設定を明確に定めていく。
  2. スケーラビリティ設計
    ジョブ数が増える場合は複数ランナーを分散配置し、ロードバランサやキューイングで制御。
  3. 更新とメンテナンス
    ランナーバージョンは定期的に更新が必要。GitHub Actionsのリリースノートに合わせて自動アップデートスクリプトを整備するとよい。

■ まとめ

GitHub Actionsランナーは「どこでワークフローを実行するか」を決定する要素です。
GitHubホストランナーは“即時で利用可能なサーバ”で利便性重視であり
セルフホスティッドランナーは“制御型”で信頼性・セキュリティ重視。

エンタープライズ環境では、両者を併用して
「クラウドの柔軟性 × 社内インフラの堅牢性」を両立する構成が最も理想的です。

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