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そもそもレイクハウスとは?
従来、企業は構造化データを高速に分析する データウェアハウス(DWH) と、非構造化も含め大量の生データを安価に保存する データレイク を併用してきました。しかし両者は異なる仕組みのため連携が難しく、データが部署ごとにデータがバラバラに閉じ込められて、他と共有できない状態( = サイロ化)したり、機械学習で使う際にコピーが必要になるなどの課題がありました。
この課題を解決するために登場したのが レイクハウス という構成です。レイクハウスは「データレイクの柔軟性・経済性・スケーラビリティ」と「DWHのデータ管理機能やACIDトランザクション」を兼ね備えた新しいデータ管理アーキテクチャです。
一つのプラットフォーム上でBIも機械学習も「どのデータをどこに置くか」を気にせずに、同じデータを構造化・準構造化・非構造化データを一貫して利用できるのが特徴です。レイクハウスの中核には、オブジェクトストレージ上にテーブルを実現する「オープンテーブルフォーマット」が必要となります。
Delta Lakeとは何か?
Delta Lake は、Databricks が開発しコミュニティに公開したオープンソースのストレージレイヤー(オープンテーブルフォーマット)です。Parquet ファイルに基づくテーブルに トランザクションログ を追加し、ACID特性とスケーラブルなメタデータ処理を実現する仕組みで、データレイク上に直接 テーブルの概念 を提供します。
Databricks のブログではレイクハウスを「クラウドオブジェクトストア上のオープンソースのACIDテーブルストレージレイヤーである Delta Lake を利用した新しいパラダイム (=枠組み)」と説明しており、これがレイクハウス実現の鍵になっています。Delta Lake はファイル先行書き込み型のログ構造により、複数オブジェクトを一括更新したり、一部のみ置き換えながらも直列化可能な方法で処理でき、並列読み書きも可能にします。さらに、タイムトラベル(スナップショットのクエリやロールバック)、自動レイアウト最適化、アップサート、キャッシュ、監査ログなど高度な機能も備え、オブジェクトストレージ上でDWH並みの信頼性とパフォーマンスを実現します。
Delta Lakeが解決する課題について
- データレイクの信頼性向上 – Delta Lake はデータレイクの信頼性と性能を最適化するために設計されたオープンソースのデータストレージフレームワークで、データの一貫性やトランザクション性の欠如といった従来の課題に対処します。
- ACID保証と並列書き込み – オープンスタンダードに基づくクラウドテーブル形式としてACIDトランザクションや並行書き換えをサポートし、データ品質や信頼性を維持したまま複数ユーザーが同時に利用可能です。
- スキーマの強制と進化 – データを書き込む際にスキーマを検証し、一貫しないデータを弾くことで品質を担保します。バージョン管理によりスキーマ変更の履歴を保持し、更新も可能です。
- タイムトラベル・ロールバック – トランザクションログは全ての変更履歴を記録し、特定時点のスナップショットをクエリしたりロールバックしたりできます。
- バッチとストリーミングの統合 – Apache Spark の構造化ストリーミングと密接に統合されており、同じデータコピーをバッチ処理とストリーミング処理の両方で利用可能。近年では Bronze–Silver–Gold のメダリオンアーキテクチャで段階的にデータ品質を高めるパターンが広く採用されています。
- 幅広い互換性 – Delta Lake は Spark だけでなく、Presto、Trino、Flink、Hive など複数のクエリエンジンと連携できることが実証され、クラウド(HDFS、Amazon S3 など)やオンプレミスに依存しない。
レイクハウスとオープンテーブルフォーマットの関係
レイクハウスの中でテーブルを実現するには、データをオープンなファイル形式(ParquetやORCなど)で保存しつつ、ACIDトランザクションやバージョン管理を提供する層が必要です。Delta Lake はそうした オープンテーブルフォーマットの一つであり、他には Apache Iceberg や Apache Hudi などが存在します。これらはすべてオープン標準のプロトコルを採用しているためベンダーロックインが少なく、さまざまなエンジンやツールから読み書きできることが特徴です。
まとめと活用ポイント
- Delta Lake はオープンソースのストレージレイヤー(オープンテーブルフォーマット)で、オブジェクトストレージ上にACIDテーブルを実現します。Parquet + トランザクションログによりデータの信頼性と操作性を高め、データレイクとDWHの橋渡しを担います。
- レイクハウスはDWHとデータレイクの良いところ取りであり、単一基盤でデータ可視化と機械学習を透過的に扱えます。Databricksの定義では、データレイクの柔軟性や経済性、DWHのデータ管理・ACIDトランザクション機能を取り入れた オープンなデータ管理アーキテクチャ とされています。
- オブジェクトストレージ+オープンテーブルフォーマットという構成がレイクハウスの本質であり、ローコストでスケーラブルなデータ基盤を実現します。
Delta Lake は大量データを扱う企業やデータプラットフォームの要として急速に広がっており、レイクハウスアーキテクチャを採用する際の重要な技術選択肢です。ブログでは、データレイクの課題とレイクハウスのメリットを踏まえた上で、Delta Lake のしくみと効果を具体例を交えながら紹介すると、読者にとって理解しやすい内容になるでしょう。