Snowpark入門:Snowflakeで使えるデータ分析の新しい選択肢について

そもそもSnowflakeとは?

Snowflakeはクラウドネイティブなデータウェアハウスで、AWS・Azure・GCPなど複数のクラウド環境上で利用可能なサービスです。従来のオンプレミス型データベースとは異なり、ストレージとコンピューティングを完全に分離できるのが特徴です。

  • ストレージ:大容量データを安価に保存可能
  • コンピュート:必要に応じてスケールイン/アウト可能
  • サービス層:認証・最適化・メタデータ管理を一元化

つまり、データを一箇所に統合し、必要に応じて柔軟に処理できるプラットフォームがSnowflakeです。

分散処理基盤とは?

大量のデータを扱う際、1台のマシンでは処理が追いつきません。そこで複数のノードに処理を分散させる仕組みが「分散処理基盤」です。


代表例としては以下があります。

  • Hadoop:バッチ処理を中心とした分散ファイルシステム(HDFS)+MapReduce
  • Spark:インメモリ処理による高速分散処理フレームワーク
  • Snowflake:クラウド上に構築された分散処理データ基盤

Snowflakeは利用者が複雑な分散環境を構築する必要なく、クラウド上で自動的に最適化・並列処理を行えるのが強みです。

Snowparkとは?

Snowparkは、Snowflake上でPythonやJava、Scalaといった一般的なプログラミング言語を使ってデータ処理を記述できるAPIです。
従来はSQLのみでデータを操作していましたが、Snowparkを使うことで以下のメリットがあります:

  • Pythonライクに記述可能:Pandas風の操作でデータフレームを扱える
  • Snowflake上で実行される:処理がSnowflake内部で並列分散処理されるため、大規模データも効率的
  • 機械学習・分析との親和性:既存のPythonコードと連携しやすい

つまり、Snowparkは「データ分析者やデータエンジニアがSQLに縛られず、慣れた言語でSnowflakeをフル活用できる仕組み」です。

Sparkの分散処理をAPIを使用して

簡単なSnowpark APIの例

PythonでSnowparkを使うと、以下のように書けます。

from snowflake.snowpark import Session
from snowflake.snowpark.functions import col

# セッションの作成(接続情報を設定)
connection_parameters = {
    "account": "<your_account>",
    "user": "<your_user>",
    "password": "<your_password>",
    "role": "SYSADMIN",
    "warehouse": "COMPUTE_WH",
    "database": "DEMO_DB",
    "schema": "PUBLIC"
}
session = Session.builder.configs(connection_parameters).create()

# データ読み込み
df = session.table("SALES")

# 簡単な集計処理
result = df.group_by(col("CATEGORY")).agg({"AMOUNT": "avg"})
result.show()

→ まるでPandasを使うように記述できますが、処理はすべてSnowflakeの分散基盤上で並列実行されます。

Snowflake DataFrame(SDF)とは?

Snowparkの中核となるオブジェクトが Snowflake DataFrame(SDF) です。
これは snowflake.snowpark.DataFrame クラスで、リレーショナルデータの集まりを表し、メソッドによって操作する“遅延評価のクエリ” です。
処理としては collect()show() といったアクション呼び出しまで実行されず、安全かつ効率的に巨大データを扱えます。

同様のAPIとは?

Snowparkとよく比較されるのが以下のような技術です。

  • PySpark:Apache Spark上でPythonを使った分散処理
  • Pandas on Dask / Modin:Pandasのように書ける分散処理基盤
  • BigQuery DataFrames:Google Cloud BigQueryでのPython API

Snowparkの特徴は「Snowflakeのストレージ・計算リソースを直接利用できる点」。外部にデータを移動させる必要がないため、セキュリティ・パフォーマンス・管理性の観点で優れていると評価されています。

まとめ

Snowparkは、Snowflakeの強力な分散処理基盤を活用しつつ、PythonやJavaで柔軟にデータ処理を書ける新しいAPIです。
これにより、SQLが苦手なエンジニアでもクラウドデータウェアハウスのパワーを最大限引き出せるようになります。

→ 今後は機械学習や高度な分析ワークロードでもSnowparkが中心的な役割を果たしていくでしょう。

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