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Sparkとは?
Apache Spark(スパーク)は、「大規模データを高速に処理するための分散処理フレームワーク」です。従来のHadoop MapReduceに比べて圧倒的に高速で柔軟性が高く、現在では分散処理基盤の代表格として幅広く利用されています。
Sparkは単なるバッチ処理だけでなく、ストリーミング処理、SQL分析、機械学習、グラフ分析までカバーする「統合分析基盤」として進化してきました。大規模データ処理の現場で「第一に検討される選択肢」と言えるでしょう。
Hadoopとの違い
分散処理基盤といえばHadoopが先に登場しました。Sparkはその次世代技術として位置付けられています。Hadoopの利点と欠点を見てみましょう。
Hadoopの利点
- 簡単に大規模な分散処理が可能である
- 拡張性が高く簡単にスケールが可能
- 耐障害性が高い
Hadoopの欠点
- 大規模バッチ処理は得意だが、小さなプログラムの動作にはオーバーヘッドが大きい
- MapRuduceは処理を実施するとディスク読み書きが発生する
上記のようにHadoopには利点もありますが、ディスクIOが多く発生したり、小さなプログラムを動作させるのにオーバヘッドが発生したりするなどの欠点があります。
SparkとHadoopの違いを簡単に整理すると以下の通りになります。
- 処理速度:
Hadoop MapReduceはディスクを介した処理が基本で遅いのに対し、Sparkはメモリ上でデータ処理を行うため、最大で100倍以上高速になることがあります。 - 開発のしやすさ:
MapReduceは複雑なJavaコードが必要ですが、SparkはPython・Scala・Javaなど複数のAPIをサポート。SQLライクな書き方も可能で、学習コストが低いのが魅力です。 - 対応領域:
Hadoopは主にバッチ処理ですが、Sparkはストリーミング・機械学習・グラフ解析まで対応。オールインワンの分析基盤に進化しました。
要するに「SparkはHadoopの進化版であり、より速く・便利に・幅広く使える分散処理基盤」という理解が分かりやすいです。
Sparkのコンポーネント
Sparkのコンポーネントは下記のとおりです。
- 並列分散処理として「Spark」
- リソース管理として「YARN」
- 分散ストレージとして「S3やCassandra、HDFS」

Hadoopのコンポーネントと比べると、並列分散処理と分散ストレージのコンポーネントが異なることがわかります。

SparkのデータセットAPIについて
Sparkでデータを扱い場合には、分散しているデータを一つのオブジェクトとして扱えるようなAPI(Application Programming Interface)が用意されています。下記の3つのデータセットAPIが使用可能です。
- RDD
- DataFrame
- Dataset
「DataFrame」形式はPythonのPandasの形式と類似している為、扱いやすいです。
Sparkの主要コンポーネント
Sparkには多様なモジュールがあり、利用目的に応じて使い分けられます。
- Spark SQL:SQLライクにデータを操作可能。既存のBIツールとも相性が良い。
- Spark Streaming:リアルタイムデータ処理を実現。ログ解析やIoTなどに利用。
- MLlib:機械学習ライブラリ。クラスタリングや回帰分析などを分散処理で実行可能。
- GraphX:グラフデータ解析ライブラリ。SNS分析やネットワーク解析に活用。
これらを統合的に扱えるのがSparkの強みです。

Sparkが使われる場面
Sparkは企業や研究機関の幅広いシナリオで使われています。
- ログ解析:大量のアクセスログを高速に処理し、不正検知や行動分析に活用。
- ETL処理:大規模データの抽出・変換・ロードを効率的に行う基盤として。
- 機械学習:分散環境で大量データを扱ったモデル学習。レコメンドシステムや需要予測に活用。
- IoTデータ処理:センサーから送られてくるストリーミングデータを即座に解析。
「大量のデータを迅速に処理して、分析や意思決定につなげたい場面」でSparkは強い力を発揮します。
クラウドでのSpark活用
近年はクラウド上でSparkを利用するのが主流になっています。代表的なサービスは以下の通りです。
- AWS:Amazon EMR(Elastic MapReduce)
Hadoop/Sparkクラスタを簡単に構築・運用可能。オンデマンドでスケーリング可能。 - GCP:Dataproc
Sparkを数分で起動でき、BigQueryやAI Platformとの連携も容易。
- Azure:HDInsight / Synapse
Azureのデータサービス群と統合しやすく、SQLベースの分析基盤とも併用できる。
これにより、オンプレで大規模クラスタを管理する必要はなくなり、誰でも分散処理を使いやすい環境が整っています。
まとめ
Apache Sparkは「Hadoopを超える次世代の分散処理基盤」として登場し、現在では高速・柔軟・多用途のデータ分析基盤として標準的な存在になっています。
- Hadoopとの違い → 高速・簡単・多機能
- 活用領域 → ログ解析、ETL、機械学習、IoTなど幅広い
- 実際の利用 → クラウドサービス上で簡単に導入可能
Sparkを理解することは、PySparkやSnowflakeといった次の記事への理解を深めるための重要なステップとなります。
SparkのPython向けのAPIであるPySparkについてはこちらで分かりやすくご説明しています!